Research    
   ●  History.................................................................................... 研究室の歴史的由来です

  木材化工学講座
  昭和43年に京都大学農学部林産工学科内に設立された、当研究室の前身となった研究室です。初代教授は、岡本一先生(故人)で、助手として片山幸士先生が着任されました。当時の研究テーマは、木材の加水分解、光分解、熱分解、ホルムアルデヒドによる木材の寸法安定化、セルロースのX線構造解析などでした。その後、岡村圭造先生が助教授、湊和也先生が助手として採用され、順次研究室のスタッフも充実がはかられました。
  昭和60年に岡本先生が停年退官されると、岡村圭造先生が教授に昇進され、翌年には木材研究所より東順一先生が助教授として着任されました。研究テーマもセルロース、ヘミセルロースを中心とした多糖類やその誘導体の構造、物性、相互作用の解析、木材のレーザー光分解、木材腐朽菌による生分解、森林生態系での無機物質の循環、ホルマール化による楽器の音響特性の改良、組織培養による樹木細胞の認識に関する研究、木材の老化と出土木材に関する研究など多岐にわたりました。
 
  バイオマス循環論分野
  平成7年に大学院重点化を受けた農学部・農学研究科の改組が行われ、大学院農学研究科地域環境科学専攻内にバイオマス循環論分野として新しい研究室が設置されました。岡村圭造先生は改組と時を同じくして停年退官され、旧木材化工学研究室のスタッフは、東順一先生が教授として、また片山幸士先生が助教授として、バイオマス循環論分野の立ち上げを行いました。一方、湊和也先生は、森林科学専攻生物材料化学分野の助教授に昇任されました。このようにして、旧木材化工学研究室の流れは、発展的に拡がりました。
  バイオマス循環論分野では、坂本正弘先生の着任や片山幸士先生の人間環境大学へのご栄転を経て、生物資源の循環的有効利用を中心テーマとして、植物バイオマスの形成と改質、遺伝子から生物材料へ(gene to materials)といった分子生物学的な手法を含む新領域にも研究テーマが拡がってきました。

  森林生化学分野
  平成14年、研究室は森林生化学分野と名称を変更し、現在の形ができあがりました。東順一先生は平成24年3月に停年退職され、特任教授として大阪大学大学院工学研究科に移られました。最近の森林生化学分野では、植物やきのこを実験材料として、バイオマスの生産と分解のメカニズムについて生化学的・分子生物学的な手法で明らかにし、森林生態系における循環のしくみを解明するとともに、豊かな未来社会に活かすための研究を行っています。
 
 
 このように、時代の流れを経て現在の姿になった森林生化学分野ですが、その変遷の間には、研究室の充実に向けた歴代のスタッフや学生の皆さんの大変なご苦労があったことと拝察いたしております。時の流れとともに組織の名前や構成員も変わりますが、それぞれの時代を少しずつ重ねて共有して来た関係者や卒業生の皆さんの人のつながり・絆は大切にして、これからの学生さん達にも伝えていければ、と思っています。各界でご活躍のOB,OGの皆様におかれましては、是非研究室にお立ち寄りいただき、折に触れて後輩達に接していただけましたら幸甚に存じます。    (平成25年5月 文責 本田)


京都大学 農学研究科 地域環境科学専攻 森林生化学分野
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